ある日、ひとりのおさむらいが、むしゃしゅぎょうで、山の道ばとおらんたってね。そうしんと、今まで天気いいがったのに、急に、空うすぐらくなって、うしろの方から、まご一馬ひいて、チャンカ、チャンカ、チャンカって、やってきたってね。そうして、おさむらいのそばまできたとおもったら、また急に・あがりくなって、
 
 「さあ、だんなん。この馬にのってくんない。」
って、せったってね。
 
 「まあ、なにもんのしわざかしらんけも、この天気いいのに、急にうすぐらくなって・・・。しかしまあ、のってやれ!。」
って、おさむらいは、馬にのらんたって。
 
 まごはまた、チャンカ、チャンカ、チャンカって、馬ひいて一しば木のげんごえもんのうちにやってきたってね。
 
 おさむらい、心ん中で、「なんだ、きっねかたぬきのしわざだろうが、こんなりっぱなうちにつんてきて。こんなもん、ほんとは、木のはっぱだかなんだかわかったもんじゃね。」
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