「ほら、えたか。」

って、あやすと、その子「えヘヘヘ。」「えヘヘヘ。」って、わらって、えたってね。/ そうしたところが、ある日、そこへ、急にでっかいわしとんできて、「あっ」っていうまに、その子ばさらって、ずっとむごうの方へとんでってしまったってね。

 おっ母さんもう、気ちがいみたいに、ないて、わしばぼっていったけも、だめだったって。

 なくなく山から帰ってきて、それからも、まいんち、「えーん。」「え-ん。」って、ないてえたってね。そしたら、とうとう、目つぷんてしまったって。

 ところが、ある村でね。おしょうさん、おとぎにえごうって、寺、出ると、門のそばの、高い木の上で、子どものなき声したってね。「へんだなあ。」って、上、見たら、どうも、わしのすん中のようだったってね。
47