ところで、学習発表会は子供にとってどんな教育的意義があるのでしょうか。いろいろな考えがあると思いますが、私は『人に見られることを意識する』ことであると考えています。私たちは、普段自分の目や自分の耳、自分の気持ちからでしか周囲を見ていません。自分の姿は、鏡や写真、ビデオという媒体を通して間接的にしか見ることができません。そのため、自分の言動が周りからどう見えているか、どう評価をされているか意識できないため、時によっては独りよがりととられる行動をしたり、いわゆる「空気が読めない」言動をしてしまうことがあります。一方、学習発表会は、人に見せる場です。必然、人からどう見られるかを意識して練習をします。見ている人に伝わる声の大きさで、見た人に分かりやすい動作や演技で…と、見ている周囲の人に自分がどう映るのかを考えて行動します。このことが、「自分が行っている言動を、もう一人の自分が外から冷静に観測し、自分をコントロールしていく力(心理学で言うメタ認知能力)」を育てます。本番では、きっと緊張する子もいるでしょう。でも、緊張するということは、お家の人や見ている人に“自分のかっこいい姿を見てもらいたい”という気持ちがあるからこそ生まれてくるものです。その気持ちを大切にし、本番でうまくできてもできなくても、その子なりのがんばりを大いに認め、褒めていただければと思います。
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