道徳の時間に「じろり,じろり」という資料を使って,「特性の違い」について学習しました。子どもたちは,資料に出てきた「違い」を受け止められず相手と敵対していったぞうについて,自分や友達を重ね合わせながら,さまざまなことを考えていたようです。 6年生といえば,思春期に差し掛かり,自分と他人との違いを強く意識する時期です。自分を知るうえで,自分と他人を比べることは必要なことだと私は思います。しかし,その違いについて,優劣をつけたり,相手との境界線にしたりしてしまったとき,そのことがやがて相手への偏見や差別につながっていきます。 人間は一人一人,その人だけの自分らしさをもっています。金子みすずが「みんな違って,みんないい。」といったように,相手との違いは自分のよさ,自分の成長につながる学びのチャンスととらえられるようになってほしいと思っています。 また,その後,いじめについて考える授業を2時間行いました。「いじめは,いじめるほうが100%悪いこと」「いじめが起きた時に,自分ができること」を学習しました。いじめで,幸せになる人はだれ一人としていません。いじめは絶対に許さない姿勢をもって,指導に当たります。
【児童の感想】 ○私たち人間にもつながっていることだと思った。小さいことがもとで,大きないやなことが起きてしまって怖いと思った。「あの人苦手」って思っても,いいところをたくさん見つけて仲良くなりたいです。 ○この授業で「人と違うっていいな」と思いました。僕は人と違うことをしてしまって,不安になっていたけれど,この授業で「人と違ってもいい」ことが分かってよかったです。
【道徳の時間 資料】 『じろり,じろり』 むかし、象は、黒い象と白い象だけでした。どちらの象も、生き物すべてが大すきでした。ところが黒い象も白い象も自分たちとちがう姿が気に入らず、にくみ合うようになり、黒い象は草原のかた方に、白い象は反対側に、わかれてくらすようになりました。ある日、黒い象は「白い象をみんなやっつけてしまおう」と、決心しました。白い象の方も「黒い象をやっつけてしまおう」と決心しました。 たたかいのきらいな象だけは、なかまからはなれて、くらいくらいジャングルのおくへおくへ入っていきました。ジャングルのおくに入った象たちは、二度と草原に出ることはありませんでした。白い象と黒い象は、おたがいに悪口を言い合い、とうとう、たたかいがはじまりました。たたかいはつづき・・・・・ ずうっとつづき・・・・・そして、象はみんな死んでしまいました。 それからしばらく草原では、象の姿を見ることはありませんでした。
ところが何十年間かたったある日、かくれていた象のまごたちが、ジャングルからぞろぞろ出てきたではありませんか。みんなみんなはい色。それからずっと、象はなかよくくらしました。でも、このごろ小さい耳の象と大きい耳の象とが、にくみ合うようになったのです。・・・・・どうしてでしょうね。 そして黒い象と白い象がいたときと同じようにたたかいがはじまり、たたかった象はみんな死んでしまいました。何十年かたって、たたかいがきらいな象のまごたちが、ジャングルから出てきました。みんなはい色。耳も同じ大きさ。色も形も大きさも、鳴き声さえも何もかも同じ象となって。 ・・・・・象は、今度こそ なかよくくらすことができるでしょうか。
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