読んでもらい、知ってもらいたいと思ったのです。
 
 そこで、上関田の樋口様に出版のご了解を得て、山田商会様に相談してみました。すると長女の春美様がさし絵を描いて下さるとの、大へん嬉しいご返事を得て、私の願いは実現の運びとなりました。

 また当時、筒方小学校の校長であられた、下酉正博先生からも、まえがきにおことばをいただき、励ましていただきました。本当に有難いことと感謝いたしておリます。

 このように多くの方々のお力を得て、何とかこのような小冊子にまとめることができ、皆さんに読んでいただけることは、私にとりましてこの上ない喜びです。

 できましたらこの本は、声を出して読んでください。また読み聞かせてください。きっとおもしろさがわかっていただけると思います。ただここで大へん心残りに思うことがありました。それは、ご了解を得るために、樋口様を訪問いたしましたところ、その時はもうおばあさまの、にこやかなお顔を拝見することができなかったことです。三年前にお亡くなりになったとのことでした。何と残念なことでしょう。"誰よりも、おばあさまに読んでいただきたかったのに"と悔やまれてなりません。

 今はただ慎んで御冥福をお祈りいたしますとともに、御霊に心よりお礼申し上げたいと思います。


昭和五十七年夏

尾 崎 ミ ヨ
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