って、いきまいたすけね、げんごえもんは、
　
　「ああ、おまんたね、見らんたんじゃ、しょうがねえ、だが、どうだね。おれに、このきつねば、売ってくんねかね。」
って、たのまんたってね。
　
　りょうしたちは、
　
　「どうする。」
　
　「どうせ、なさけぶかいだんなんだすけ、おらたちから買ったって、またどうせ、にがされんに、決まっているだろ。」
　
　「そうしたらまた、つかめれば、二じゅうに金もらわれんなや。」
って、そうだんして、
　
　「そしゃ、売るわね。」
って、せったってね。
　
　「そっか、そんだけも、おれ今、じょうのうおさめに出かけてきたとこだすけ、この金みんなやっちゃうと、じょうのうおさめらんなぐなっちゃうしなあー。」
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