ばおしあけておいてくんない。」
って、せったってね。さて、そのとおりにしると、うちの人ばみんなやすましてからじぷんは、その金ぐらんなかへはいっていかんたってね。
 
 いよいよ、夜中んなると、ガヤガヤと音して、とうぞくおおぜいやってきたってね。そして、
 
 「やあ、かねぐらの戸あいてるぞう。」
 
 「かねみんな、おしあけてある。」
 
「しば木のげんごえもんは、きつねまで、買ったせうが、ほんとにたいしたもんだ。」
なんて、大よろこびで、くらん中へはいって、われも、われもって、かねば、ほっぽへえんたり、たもとへえんたりしてたってね。

 おさむらいは、そのまに、そうっとくらから出て、くらの戸ばぜんぷ、ビシーンとしめたってね。
44