聞くと、しょうやさんはなあ、目、泣きはらして、

 「はい、ほんとうで、ござえますわね。わしらうちのむすめ、ことし十八になったんですけも、ゆうべ白羽の矢、立ってしまいました。そんだすけ、こんや、なんかごちそう作って、十二時まで、お宮さんへ、つんてえがんきあならんのですわね。」
って、せったってや。

 重太郎はなあ、

 「そうか。よし、それじや、わしをその、むすめのかわりに、つれて行ってくれ。」
って、せわんたってや。しようやさん、もう、大よろこびで、

 「そうですかね。じゃ、ぜひそうしてください。」
って、重太郎ばうちへあげたってや。

 そうして、夜んなるとなあ、ごっっお、えっぱい作って、それば、でっかえ、ながもちん中へえんて、酒も五しょうだる二つ、赤はん、さしみ、たいのやきざかなまで用意して、じがん
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