って、泣きながらせったってや。

 「白羽の矢って、なんだ。」
って、また聞くとなあ、

 「じつは、この村にゃ、三年に一ぺんずつ、夜、ねているうちに、むすめのいるうちに、白羽の矢が立っんですわね。」

 「それがまあ、ことしは、しょうやさんのうちに、立っちまったんですわね。」

 「そのうちじゃ、むすめば、夜中の十二時まで、お宮さんへ、つんていかんきあ、ならんのです。」

 「そんだすけ、かわいそうでー。かわいそうでー。」

 「おさむらいさん、なんかいいほうほう、ないですかえねえ。」
って、みんなで、たのんだってや。

 「そうか、そりゃ困ったなあ。よし、そんじゃ、わしが、ひとつ話してみるか。」
って、重太郎は、しょうやのうちへ、いがんたってや。しょうやに、

 「村のもんのせってることは、ほんとうか。」って
53