中から、うーっ、うーっって声、してえたってや。

 「こん中だな。」って、そうっと、あなん中へはいってえってみると、なんかねてたってや。そんだすけ、その二本の足ばっかめて、そろっ、そろっと、あがるいとごまで、ひっぱり出してみるとなあ。

 そうしたらなあ、そりゃ、でっかいたぬきだったってや。

 「おーい、つかめたぞう!たぬきだったぞう!。」

 「たいじ、したぞう!」
って、上の方にどなって、たぬきのいきのねばとめてから、おびでひっぱりあげたってや。

 「これが、えままで、おらば、だましてえたなか。」
って、みんなで、たぬきば、かっいんで、しょうやさんのうちまで、帰ってきたってや。 

 「もう、らいねんから心ぱいねえ。」

 「ほんとに、いがった。」

 「おさむらいさんの、おかげだ。」
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