「いいい、きょう、しょうたい、見らんてしまったすけ、こうしちゃえらんねんだわね。」
って、せわんたって。

 「そんなごとせわんで、ここにいてくれや。」

 「いいい、どうしても、えらんねんだわね。たのむすけ、ひまくんてくんない。」
ってきかんがったって。そしてね、

 「この子、あしたんなって、ちちほしがって泣いたら、山へ一つんてきてくんない。」
って、おとっつぁんがどんなにとめても、きかんで、山へいってしまわんたって。

 つぎの日んなるとね。やっばり子どもは、ちちほしがって泣いたってね。おとっっあん、その子ばぶって、山へえがんたって。そうしたらね、でっかいきっねのすがたんなって、出てきたってね。
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