「へんだなあ、今ごろだれだろう。」って、おとっつあんが出てみたらね、おもてに、きれえなわ
かい女の人が立っていたってね。そして、

 「おれば、こんばん一ばんとめてくんない」って、せわんたって。

 おとっつあんは、まあたまげて、
 「はあ、おらまあ、おまんば、とめてあげればいいんだけも、おらちはこんなね、びんぼうで、ね
るふとんもねえし、食うもんもねえすけ、とてもとめてあげらんねわね」
って、ことわらんたってね。そんだけも、
 
「いいい、なあにもねくてもいいすけ、とめてくんない」って、しつっこくたのまんたってね。
おとっつあんは、しかたないすけ、
 
「そっかね。そんじゃまあ、なあにもねえけも、いがったらあがってくんない」
って、その人をうちへあげらんたってね。

7