そうして、重太郎、耳すましてんと、なんか、歩く音、聞こえたってや。

 「さあて、なんかきたぞう。」って、思っていると、その足音なあ、お宮さんのまえで、とまって、なんかお宮さんに、いのってるようだったってや。

 それから、酒だるのそばへきて、のこっている酒、みんなのんで、こんだ、さがなの方へいったようだってや。そして、うんまいとごねえがったせえだが、かんかんに、おごっているようだったってや。

 そうして、「よくも、おれば、だましたな。よし、この上は、ながもちん中のもん、もらおう。」って、近づいてきたってや。

 そうして、ながもちに手かけて、「うーん。」と、ふたば、あげようとしたってや。重太郎は、中で、ひっしに、ふたばおさえていたってや。そうして、あいてがもう一ど、ふた、あげようとしたとき、ぱっと、中から、ふた、おしあげたってや。

 そうしんと、ふたなあ、ぽーんと、空へとんでったてや。そ

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